中国鉄路の多種多様な電車たち
中国語で電車は「动车组(動車組)」と言います。機関車+客車列車で切り離しが可能なもの以外はすべて動車組で、動力集中方式であるCR200Jも動車組となっています。列車番号(種別)はG(高速動車組)、D(動車組)、C(城際動車組)の3つで、G列車は最高速度が250km/hを超える列車となっています。現在活躍しているCRH「和諧号」が導入される以前は中国独自で開発に取り組みましたが、どれも上手くいきませんでした。そこで2005年より複数の他国から技術・車両の輸入を進め、中国の高速鉄道が急速に発展しました。初期に導入されたCRH1シリーズからCRH5シリーズは、CRH3CとCRH2Cを除き最高速度250km/h以下のグループで、現在ではD列車やC列車で活躍しています。すでに導入から20年経過していますが、事故廃車以外ほとんどの車両が廃車されず現在に至ります。その後、さらなる高速化を目指しCRH380シリーズの導入が始まりました。CRH380シリーズはCRH380A~Dの4系列あり、いずれも設計最高速度は380km/h、営業最高速度は310km/hです。そして2015年からは中国鉄路独自の車両として、設計最高速度400km/h、営業最高速度350km/hのCR400AF/BFが製造されました。その後さらに機能をアップグレードしたCR400智能復興号や、最高速度を抑えたCR300AF/BF、客車列車を直接置き換えるために製造されたCR200J系列など、さらなる独自の発展を遂げています。そして2024年末には現在の営業最高速度をさらに50km/h引き上げ、400km/hでの営業運転を目指したCR450AF/BFが完成。今後も発展していく中国の高速鉄道に注目です。
CR450系列 “复兴号450”
The fastest train of the world
最高峰を征く、最高の列車。
営業最高速度
設計最高速度
CR450AF/BFは2024年末に試作車が落成。現在の350km/hを大きく上回る最高時速400km/hでの営業運転を目指して開発された最新鋭車両です。CR400系列と比較すると車内、車外ともに大きく変わっており、特に内装面ではこれまでの座席とは異なる形状の座席を搭載していることが確認できます。2026年中に北京~上海間で営業運転を開始する予定で、2027年には新しく開業する重慶~成都の高速鉄道線で最高時速400km/hでの営業運転を開始する見込みです。
CR400技術向上型 “智能复兴号”
The new standard of high-speed train
これが、新しい高速鉄道のスタンダード。
2021年に最高速度350km/hのCR400の進化系として登場。エクステリアはもちろん、インテリアのデザインも大きく変更されており、特に最上級クラスの商務座では飛行機のビジネスクラスのようなスタッガードタイプやヘリンボーンタイプの座席が導入されました。2021年に導入された智能復興号はCR400AF/BF-Cで、AFは1編成のみ、BFも3編成のみの製造に留まりましたが、翌年増備されたCR400AF/BF-Zは大量に製造され、各鉄路局に配置されました。また、16両編成のAF/BF-AZや、17両のAF/BF-BZも製造されました。さらに寒冷地仕様のBF-Gも製造されました。2024年には座席定員を増加させたCR400AF/BF-S系列が登場しました。こちらも同様に16両、17両編成が製造され、それに加え寝台列車となるCR400AF-AEも製造されました。2026年では中国鉄路のフラッグシップとして、全国どこでも見られる車両となっています。

CR400AF-C/Z/S
中車青島四方製

CR400BF-C/Z/S
中車唐山・長春製
CR400系列 “复兴号”
The pioneer of highspeed-train
新しい高速鉄道を切り拓く。
CR450AF/BFは2024年末に試作車が落成。現在の350km/hを大きく上回る最高時速400km/hでの営業運転を目指して開発された最新鋭車両です。CR400系列と比較すると車内、車外ともに大きく変わっており、特に内装面ではこれまでの座席とは異なる形状の座席を搭載していることが確認できます。2026年中に北京~上海間で営業運転を開始する予定で、2027年には新しく開業する重慶~成都の高速鉄道線で最高時速400km/hでの営業運転を開始する見込みです。

CR400AF
中車青島四方製

CR400BF
中車唐山・長春製
CRH380系列 “和谐号”
Becoming 2nd generation
第二世代がやって来た
CRH380系列は中国高鉄のさらなる高速化のために導入された系列です。CRHシリーズは基本的に250km/hが上限で、その上限を超えるためにCRH3CやCRH2Cで350km/h運転を試みましたが、結局別形式として開発することになり、製造されたのがCRH380系列です。CRH380系列にはCRH2をベースにながら車体はほぼ中国のオリジナルとなるCRH380A、CRH3Cとほぼ同じCRH380B、CRH380Bをベースにデザインを変更し、日立製の機器類を搭載したCRH380C、CRH1系列と同じくボンバルディアと共同開発となるCRH380Dの4系列があります。このうち380Aと380Bは中国高鉄の中でも非常に編成数が多い形式で、380Aは400編成以上、380Bは600編成以上が製造されました。一方380Cと380Dは少数派で限られた地域でしか見ることができません。380Aと380Bは8両と16両編成がありますが、380Cは16両固定編成のみ、380Dは8両編成のみ製造されています。

CRH380A系列
from CRH2
ベースはCRH2系列だが、車体は中国オリジナルの部分が強く、CRH2の面影はほぼない。高鉄車両ではCRH380Bに次ぐ勢力を誇っており、中国各地で見ることができる。

CRH380B系列
from CRH3C
CRH380Aとは対照的にCRH3C(ヴェラロ)とほぼ同じなのがCRH380B。最高速度などもCRH3Cと同じである。中国高鉄では最大勢力で、本当にどこでも大量にいる車両。

CRH380D系列
ボンバルディア・ゼフィロをベースに製造されたのがCRH380D。ボンバルディアという点はCRH1系列と共通だが、見た目は全く異なっている。
※未撮影 CRH380CL
CRH系列 “和谐号“
Beginning of the new era
新しい高速鉄道のはじまり
CRH2C/CRH3Cのみ 営業最高速度
中国は高速鉄道の自国開発を目指し、DJJ1やDJJ2(中華之星)などを製造したが、結局トラブル多発などで量産化に至らず、他国からの技術供与を受けた車両の製造を決定しました。2007年より「和谐号」と名付けられ営業運転を開始しました。初期に導入されたCRH系列は4系列。まずドイツ・ボンバルディア社の技術供与を受けたCRH1系列。CRH1系列は主に短距離列車での運転を想定しており、現在では広珠都市間鉄道などで運用されています。CRH2は東北新幹線などで運用されているE2系をベースした車両で川崎重工からの技術供与を受けて製造されました。CRH2は横幅も広く、他の車両より快適性に優れていたため、現在に至るまで主に長距離のD列車を中心に活躍しています。日本のE2系は最高速度285km/hですが、CRH2A/Bは250km/hとなっています。なお改良型のCRH2Cは最高速度350km/hでも運転されましたが、現在では310km/hに引き下げられています。CRH3Cはドイツ・シーメンス社からの技術供与を受けて製造された車両で、ドイツのICE3をベースに製造されました。CRH2C同様、営業最高速度は310km/hとなっています。そしてCRH5系列は主に寒冷地や砂漠などの過酷な環境に対応する車両として、イタリアの技術供与で製造されました。主に東北地方などで活躍しています。いずれの形式も営業運転を開始してまもなく20年となりますが、現時点で大規模な廃車は発生していません。

CRH1系列
from Germany
ドイツ・ボンバルディアトランスポーテーションの技術供与で製造された車両。車両の真ん中にドアがあるのが特徴的。座席の転換ができないなど乗り心地の評価は低く、現在では短距離のD列車を中心に運用されているが、稀に長距離列車に充当されていることもある。例えば上海~重慶のD956/957はCRH1Bである。8両のCRH1A、16両のCRH1Bの他、CRH380Dと同じゼフィロがベースのCRH1A-A、寝台型のCRH1Eがある。

CRH2系列
from Japan
日本のE2系をベースに製造された車両。乗り心地は中国でも高く評価されており、特に座席は他のCRH車両や、CR400系列に至るまでCRH2の座席をベースにしたと思われる座席が採用されている。CRH2AにはE2系に近い非統型と、一等座の号車を変更したりと改良が加えられた統型がある。CRH2B/C/Eは先頭のノーズ部分にライトが追加されている。CRH2Aが8両、CRH2Bが16両で、これ以外に350km/h(現在は310km/h)での運転に対応したCRH2C、寝台型のCRH2Eがある。

CRH3系列
from Germany
ドイツ・シーメンス社の技術供与により製造された車両。ドイツ国鉄のICE3とほぼ同じ見た目だが、横幅が30cm拡大され二等座では他の形式と同じく横5列の配置となっている。車体や座席などはCRH2系列が高く評価されたが、走行機器類はCRH3Cが最も高く評価されており、CR400系列でもCRH3Cをベースにした走行機器類が多い。CRH3Cはドイツ由来だが、CRH3Aというものもあり、こちらは日本・川重の技術をもとに製造されている。さらにこのCRH3Aの短距離列車型であるCRH3A-Aというものもある。

CRH5系列
from Italy
フランス・アルストム(元はイタリア・フィアット)の「ペンドリーノ」をベースに開発されたのがCRH5系列である。イタリア国鉄のETR600とほぼ同型だが、車体傾斜装置が無く、幅が30cmほど拡大されている。やはり車体幅が狭く、さらに一部の車両では座席の転換もできないため、乗り心地は良くない。さらにこの車両特有の問題として小刻みな振動が発生することがある。CRH5の座席車はすべて8両編成。基本となるCRH5Aの他、耐寒冷地性能を強化したCRH5G、さらに寝台型のCRH5Eもある。
寝台高速鉄道
A Gale-Swept Morning
朝は疾風とともに
中国にしかない高速鉄道として、寝台設備を備えた高速鉄道車両があります。これまで客車列車で2日掛かっていた距離も1晩で行けるようになった画期的な列車です。一番本数が多いのは北京~広州・深圳・香港です。この区間には350km/hで走行可能なCR400AF-AEや、中国の寝台車両で唯一のプルマン式寝台で、個別のカーテンを備えたCRH2E-NGも投入されています。次に上海~広州・深圳・香港で、こちらもCR400AF-AEが投入されています。あとは北京・上海~重慶・成都や、北京~昆明などもあります。値段は一等座席車とほぼ同じで、それほど高くありません。高速鉄道の路線は週3で深夜の保守工事が行われるため、ほとんどの寝台高鉄は週末を中心にした週4日の運転です。ただしそれ以外の日は在来線を経由して運行する列車なども存在しています。
※CR400AF-AE

CRH1E
CRH1系列をベースにしていますが正面などはオリジナルのCRH1とは大きく異なっています。主に成都~上海・北京などの夜行列車に投入されているのがCRH1Eです。一部編成には高級寝台も連結されています。

CRH2E
川崎重工製CRH2をベースに製造されたのがCRH2Eです。CRH2タイプの顔をしている車両もありますが、中国オリジナルの顔をしているCRH2Eもあります。3編成のみ、線路と並行方向に寝台が配置されているプルマン式寝台の車両もあります。CRH1Eと同じく、高級寝台を連結している編成もあります。
※未撮影 CRH5E / CR400AF-AE
CR300系列/CR200J “复兴号“
A new train for everyone.
新しい列車をすべての人々に。
CR300AF/BFは営業最高速度250km/hの動車組。CRH系列と同じく、主に長距離のD列車やC列車などを中心に運用されている。CR300AFは中車青島四方・南京浦鎮製で、CR400AFのノーズを短くし、最高速度を引き下げたモデルと言っても良い車両です。車内設備などはCR400AFとほぼ同等です。CR300BFは中車唐山・長春製で、やはりCR400BFの最高速度を引き下げたような車両。こちらも車内設備はCR400BFとほぼ同等です。
CR200Jは営業最高速度160km/hの動車組。動車組の中では唯一、高速鉄道向けではなく、主に在来線を走る車両で、主にZ列車やT列車といった客車列車の直接的な置き換え用です。他の動車組は動力分散方式ですが、CR200Jは動力集中方式で、機関車込みで9両または18両・19両の編成を組み、9両の場合は片側に機関車、反対側に運転台付きの客車を連結し、18両の場合は両側に機関車を連結しています。9両は座席車のみで、18両は座席車のほか、寝台列車も連結しています。CRH2Eのような高速鉄道の車両とは異なり、三段ベッドの硬卧も連結されています。製造時期によりさまざまなバリエーションがありますが、初期に製造された車両は明るい蛍光グリーンのような色で、中国のゴミ箱に似ていることからゴミ箱という不名誉なあだ名もあります。格安な客車列車であるZ列車やT列車から、それほど設備や所要時間も変わらないのに割高なD列車のCR200Jに置き換えられているため、皮肉を込めてゴミ箱と呼ばれているようです。

CR300BF系列
営業最高速度250km/hで、中車唐山・長春製なのがCR300BFです。主に内陸の西安や鄭州などを中心に運用されている編成が多いです。

CR200系列
最高速度160km/hの動車組。動力集中方式で、先頭の機関車はFXD1-JまたはFXD3-Jという形式です。一次車、二次車は明るい緑色の塗装でゴミ箱と呼ばれています。三次車以降は白地に緑色と赤のラインが入っています。座席車の他、二等寝台、一等寝台も連結している編成があります。中国・ラオス鉄道にも乗り入れており、ラオスが保有する編成もあります。機関車がディーゼルのCR200J-G、CR200J-Nも存在します。
未撮影 CR300AF
